初戦敗退となった選抜から2週間、神奈川に戻ってきた横浜は春季大会の3回戦から登場。過去数年、常に接戦で勝利してきた星槎国際湘南に、今回も苦しめられながら辛勝。課題が多いものの、精神的にも難しい春初戦を勝ち切ったことは大きい。
❚ 模索状態の登録選手
試合前のメンバー発表では、エースナンバー「1番」を「木下」がコールされたことで会場はざわめく。及川は「10番」でじっくり調整に入る。数年前の藤平と石川を入れ替えて奮起させたことを思い出す。その他、甲子園で本塁打を放った吉原が3番。骨折から復帰の度会は守備位置もサードに変更して5番に。一方で、庄子や大手といった選抜までのレギュラーは初戦では控えに回った。
1年生の登録メンバーも多く、特に立花・延末の捕手2名は登録選手の中に入り大会中の出場が想定される。なお、唯一の1年生スタメンは安達大和外野手。江戸川中央リトルシニアから入学した。注目の「金井投手」は登録から漏れた。
❚ 対照的な両投手の投手戦へ
試合は横浜が先制するも星槎が追いつき、その後は終盤まで決め手に欠く、というよりも両チームの好投で試合は進む。横浜・木下はストレートに力があり、変化球と緩急も織り交ぜて要所を三振で切り抜ける。一方、星槎・三浦はコントロールも良く、特に左打者の芯を外す技巧的なピッチングでフライで打ち取る。横浜の貧打と捉える味方もあるが、投手の力量が高い。星槎は終盤にエースの一柳が救援。こちらもストレートのキレが抜群で、この2枚だけでも神奈川では上位レベル。結果、15奪三振で完投した木下が粘り勝ちした。
❚ 覚醒しはじめた大型右腕
木下は12回を投げ切り「奪三振15」に対して「四死球3」と安定。特に、三振の取り方が多彩で「空振り」を多くとれるストレートだけでなく、縦に落ちる変化球も絶妙なコントロール。何といってもカウントを悪くしてもすぐに並行カウントまで戻す安定力は特徴的。体系を活かしたパワーも発揮し始めており、久しぶりの本格派右腕に近づきつつある。必要なのは自信で、星稜・奥川投手のように、ピンチでも基本的に「上から目線」でバッターを圧倒するオーラのようなものが身に付くと全国でも通用する投手になる可能性を感じた。
❚ 復帰した度会のポテンシャル
結果として、起死回生の本塁打と、勝ち越しを呼び込む左超2塁打で存在感を示した度会。ちなみに、もう一つの安打はセンターへの強烈なライナーで3方向に打ち分けた。但し、それまでの打席は、らしくないポップフライを連発しており復帰初戦の焦りを感じたが、それは愛嬌として、まともにバットコントロールすればまだまだ安打は量産するだろう。勝ち越した直後、あと1アウト1球でのタイムリーエラーは良い反省材料。サードの守備は庄子と比較すると安定感には欠ける。
❚ 攻撃の修正
今日の試合は星槎の投手や野手の集中力が高く、なかなかチャンスを生み出せなかった。そんな中、2回のスクイズ失敗は猛省が必要で、横浜の場合はきっちり一発で決めるもの。但し、僅差勝負の中で中軸にも犠打を指示して進塁させるあたりは、戦略が徹底しているので経験値を積めば良化するはず。ただ、このチームは今年の東海大相模のような攻撃のチームではない。「5点」を取って、層の厚い投手陣が「3点以内」に抑えて勝つのがパターンではないか。
(延長12回表:吉原の勝ち越しタイムリー)
延長戦に入り、チャンスで代打「及川」がコールされた。確かに、秋季大会や選抜でも打撃は好調なので代打の価値はあるが、「あの及川」が救援ではなく代打という違和感を感じた観客は多いはず。ただ、ベンチにいる及川は声も出ており腐っている雰囲気はない。むしろ平田監督が攻撃力のある他選手ではなく及川を起用したことに、戦力として常にとらえている期待を感じた。見ている側からすると、1回でもよいので及川の投げる姿を観たかったのが本音だが、あえて木下を完投させて辛さと達成感を与えた平田監督の采配は間違えていない。
❚ 強豪校の敗退が続いた3回戦
この日は各地で神奈川の強豪校が登場。選抜に出場した桐蔭が向上に敗退。その他、慶應・Y高・隼人・日大・平塚学園と、ベスト8の常連が姿を消したのだが、これらのチームが夏をノーシードで登場してくるとなると組み合わせ抽選が恐ろしい。
一方、現時点で圧倒的な強さを見せているのは「東海大相模」で、地区大会とここまでの結果だけ見ると打力が突出。強豪校との対戦でそのレベルが判明するため、日大藤沢との次戦の戦いぶりは注目。ここも圧勝すると、決勝まで一気に勝ち上がるだろう。
逆ブロックでは、横浜と桐光が順調にいけば準決勝で対戦可能性がある。秋の練習試合では同点。今年は桐光も2枚看板の投手がいるため、どちらも勝ちあげると接戦を楽しめそうだ。
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